問題視される所有者不明土地の増加

所有者が不明な不動産が日本全国で増加していることが社会問題になっています。

所有者が不明な土地は利用や管理が困難であり、公共事業や都市開発の妨げになっている土地も数多く存在します。

公共事業や都市開発を進めようにも、土地の所有者を探索するのには多大なコストを必要とします。

所有者不明土地の面積は2016年時点で九州全土を上回り、対策をしなければ2040年には北海道全土に相当するまで拡大する可能性があるとされています。

このような問題等を受け、2021年4月21日、不動産登記法の改正が行われました。

法改正により、2024年4月1日から、これまで義務とされていなかった相続登記が義務化されます。

義務化後は相続登記しないと過料(罰金)が科される

土地の所有者が分からなくなる主な原因は、相続の際の相続登記・所有者の住所変更の届出がなされないことです。

順次相続によって相続人が数10人に及ぶこともあり、数10人全員の合意を取り付けることも極めて困難です。

また、戸籍等には保存年限があり、全相続人を特定できないことも少なくありません。

これらの問題から、今まで罰則等のなかった相続登記と住所変更登記について、罰則付きの義務化という大きな改正が行われたのです。

一定の期間内に相続登記・住所変更登記を行わなかった場合は過料(罰金)が科されます。

改正法は過去の相続や住所等変更にも遡及して適用されるので注意しましょう。

 期限と過料(罰金)施行日
相続登記相続登記を施行日から3年以内に行わなかった場合は10万円以下の過料2024年4月1日から
住所変更登記住所変更登記を施行日から2年以内に行わなかった場合は5万円以下の過料公布後5年以内(2026年4月28日までに施行予定)