1.(戸籍の附票で住所移転の変遷が証明できる場合)
相続登記の添付書類で被相続人の死亡時の公的住所証明書必要になります。
代表的な書類として住民票の除票がありますが、登記上の住所と相違しており
登記上の住所から最終時の住所までの履歴の変遷の記載がない場合は、住民票の除票では登記書類としての要件を
充足していないことになります。その場合は戸籍の附票(原則として被相続人の本籍地を管轄する市役所などで取得可能)を取得する事に なります。戸籍の除かれた附票は被相続人の出生時住所から死亡時までの住所移転の履歴のすべてが記載される形式となります。
但し、現在は管轄役所の公的書類の発行が紙ベースからコンピュータ管理に移行している役所が殆どですので、管轄役所のCP発行管理
から通常5年経過すると紙ベースの公的書類は廃棄処理されてしまうため、CP化前の住所の変遷情報は抹消されてしまうことになり
戸籍事務のCP化が始まった平成6年より前に不動産を取得した被相続人が複数回住所を移転し、住所変更登記を申請していなかった
場合で、管轄役所の戸籍事務のCP化の移行から五年経過した時点以降の死亡だった場合は戸籍の附票でも被相続人の最終住所までの
履歴の変遷が証明できず登記書類として充足しないことになるケースが多くなることがあります。
2.(登記済権利証もしくは登記識別情報の原本及びコピーを提出して証明できる場合)
戸籍の除かれた附票においても登記上から最終住所までの履歴が証明できない場合は登記時に発行された
登記済権利証もしくは登記識別情報を添付可能な場合は取得可能な除かれた戸籍の附票とともにその原本とコピーを
添付すれば被相続人の最終住所証明書として相続登記の適格性を充足することになります。
3.(登記済権利証もしくは登記識別情報を添付できない場合)
除かれた戸籍の附票での被相続人の登記上住所から死亡時の住所までの履歴の変遷が証明できず、かつ登記済権利証、登記識別情報を
添付できない場合において下記方法にて登記申請可能となります。
(A)相続人が一人である場合
このケースは別途被相続人の住所変遷は証明不能だが登記名義人と被相続人が同一であることに相違ない旨の上申書を
作成して相続人の実印を押印した上で相続人の印鑑証明書(有効期間制限無)を添付すれば登記書類として充足することになります。
(B)相続人が複数いる場合
このケースにおいては添付書類として作成する遺産分割協議書に(A)で記載した内容の文言を記載した上で、遺産分割協議書(押印は実印)に
添付する相続人全員の印鑑証明書(発行有効期限無)を添付すれば登記書類として充足することになります。