弊職が現在受任している相続人調査及び民法958条の3の審判手続きに関して記載していきます。
依頼者は父方の大叔父がなくなった際に介護等面倒をみていた孫の世代にあたる方です
(但し大叔父死亡の前に父は先に死亡していたケースでした)

相続時において
①配偶者が先に死亡もしくは未婚
②子供なし

上記のケースは第1順位の相続人が存在しないことになるので

ⅰ第2順位の両親が相続人となります。

 しかし自分にとって大叔父(祖父祖母の兄弟)の両親となるとひいおじいさん及びひいおじいさんの世代になるので
 通常は先に死亡しているケースが通常です。今般の依頼者も同様のケースでした

ⅱ第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。

 自分にとって大叔父の兄弟が相続人となりますが、大叔父の世代となると、当然その兄弟姉妹も高齢のケースが
 多いです。依頼者のケースは大叔父が末弟であったため、先に兄弟全員が死亡していたケースでした。

ⅲ兄弟姉妹の代襲相続人に関して 
 
 依頼者から見て大叔父の兄弟姉妹の子供、つまりは甥姪が代襲相続人になりますが、兄弟姉妹の代襲相続人は一代限りの代襲しか相続権はな
 いという民法の規定ですので、甥姪が先に大叔父より先に死亡していた場合は、甥姪の子供にあたる孫の世代にまで代襲相続
 は発生しません。今回の依頼者は先に父が大叔父より先に死亡していたため相続権は発生しません。しかし生前の介護、療養費用の立替等   
 大叔父にとって依頼者は多大なる貢献がありました。但し正式な遺言書が存在しないケースでしたので、大叔父所有の不動産につき遺贈を原 
 因とする所有権移転登記も不可能なケースでした。そこで大叔父の甥姪に当たる方を調査して大叔父の相続権があること伝えて、現在のとこ
 ろ不動産以外の保有資産は存在せず、生前債務の内容も不明という事実を伝えて、①相続するのか②相続放棄するのかにつき、相続人の回答 
 を依頼者に伝達するためのスタートラインとして戸籍を収集して相続人を調査する業務を受任しています。今般のようなケースでは、実際の
 相続人は自己が相続人であることを全く認識していないことが多く、相続するのか相続放棄するのか判断に迷われるケースが殆どです。
 
 相続を選択した場合は被相続人の生前債務も相続することになるので、依頼者が立て替えた被相続人の病院費用を依頼者から請求される可能
 性もあるので、相続人全員が相続放棄するケースも予想される事案です。

 仮に甥姪にあたる代襲相続人が全員相続放棄した場合は、相続人が不存在となるので、利害関係人たる依頼者が相続財産管理人の選任を家庭
 裁判所に申立をして、選任された相続財産管理人がまずは特別縁故者(生前の大叔父の生活に貢献をした人等)の申し出を受け付けて、特別
 縁故者の認定を家庭裁判所の審判(これを民法958条の3の審判と呼びます)で許可されれば、依頼者が特別縁故者として、大叔父の相続
 財産を取得できる可能性があります。但し、相続財産管理人申立には、高額な予納金(100万円を超えるケースが多いです)が賦課され、
 特別縁故者として認める審判が確実に出されるかの保証も一切ありませし、審判がおりても相続財産のすべてが特別縁故者に移転しないケー
 スもあります。

 上記事情をすべて説明した上で、それでも弊職に受任したいとのことでしたので
 
 この業務は時間もかかり、相続人も多数いるためどうなるか一切結果が読めない受任内容ですが、依頼者の意思に応え粛々と業務を進めて
 
 いきます。