相続の順位(法定相続人)について
民法で定められた相続の順位について図にすると、このようになります。
【相続人の範囲の図解】
被相続人との関係 | 相続の順位 |
---|---|
配偶者 | 常に相続人になる |
子 | 第1順位 |
直系尊属 | 第2順位 |
兄弟姉妹 | 第3順位 |
配偶者がある場合に、被相続人に子がいれば、被相続人の配偶者と第1順位である子またはその代襲相続人(孫・ひ孫)が相続人となります。
子も、その代襲相続人である孫・ひ孫もいない場合、被相続人の配偶者と第2順位である直系尊属(父母・祖父母)が相続人となります。
そして、子も直系尊属もいない場合、被相続人の配偶者と第3順位である兄弟姉妹またはその代襲相続人(甥・姪)が相続人になります。
相続する割合(法定相続分)について
相続する順位については上記のとおりとなりますが、それぞれの相続人がどのような割合で相続するかという法定相続分についても、民法で規定されています。法定相続分は、次のようになります。
相続人 | 相続する割合 |
---|---|
配偶者のみ | 配偶者100% |
配偶者と子 | 配偶者2分の1、子(全員で)2分の1 |
配偶者と父母 | 配偶者3分の2、父母(全員で)3分の1 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者4分の3、兄弟姉妹(全員で)4分の1 |
子供、直系尊属、兄弟姉妹が2人以上いるときは、均等に分けます。たとえば、被相続人に配偶者と子供3人がいる場合は、配偶者が2分の1、子供は2分の1を均等に3人で分けるため、それぞれ6分の1ずつの相続分になります。
民法の改正による配偶者の法定相続分の変遷
昭和55年の民法改正(昭和56年1月1日施行)により、法定相続分に関する規定が変更になっています。改正前にくらべて、配偶者の受け取る法定相続分が増えました。
どちらの法律が適用になるのかは、被相続人が亡くなったのが改正前であったのか、改正後であったのかにより、異なります。改正後に被相続人が亡くなった場合には、改正前の場合よりも取り分が多くなります。
改正前(昭和22年5月3日~昭和55年12月31日)と改正後(昭和56年1月1日~現在)の相続分の相違点をまとめると、下記のようになります。
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
相続人が子と配偶者の場合 | 配偶者1/3 子(全員で)2/3 | 配偶者1/2 子(全員で)1/2 |
相続人が父母と配偶者の場合 | 配偶者1/2 父母(全員で)1/2 | 配偶者2/3 父母(全員で)1/3 |
相続人が兄弟姉妹と配偶者の場合 | 配偶者2/3 兄弟姉妹(全員で)1/3 | 配偶者3/4 兄弟姉妹(全員で)1/4 |
また、この改正のときには、代襲相続に関しても変更があり、兄弟姉妹の子については、代襲相続が1代限りとなりました。
→代襲相続について詳しくはこちら
法定相続人・相続分に関してよくあるご質問
養子は、養親の相続人となるでしょうか?養子は、相続に関して、実子と同じように扱われます。したがって、養子は養親の相続人となります。相続分も実子と違いはありません。その結果、養子は実の親と養親の両方から相続を受けることができることになります。再婚した妻の連れ子は、相続人となれるでしょうか?再婚した妻の連れ子は、相続人となることはできません。もし新しい夫が、妻の連れ子を相続人にしたいのであれば、新しい夫と連れ子との間で養子縁組をする必要があります。被相続人の長男が被相続人よりも先に死亡している場合、死亡した長男の妻は相続人になりますか?長男が被相続人よりも先に死亡している場合には、長男の子、つまり被相続人の孫が代襲相続人として相続しますが、長男の妻は相続人とはなりません。これに対して、長男が被相続人よりも後に死亡している場合には、長男の妻も相続人となります。子が一切相続しないように相続分を奪うことができるかに関して被相続人に対して虐待や重大な侮辱があった場合、家庭裁判所に、相続人廃除の申立をして、家庭裁判所が廃除の審判をすることで、その相続人の相続分を奪うことができます。被相続人に対して犯罪を犯した相続人は、相続権がなくなりますか?被相続人に対するすべての犯罪について相続権がなくなるということではありませんが、被相続人に対する殺人や殺人未遂の罪で刑に処せられた相続人は、相続権を失います。このような、相続権を失う事由を、相続欠格事由といいます
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